Oze-0w0’s diary

大学生ですよ。

残り90日 ボランティア①

 

 というわけで、神様の助言によりボランティアに参加をしてきたが正直なめてた。

 

 参加したボランティアは先月降った大雨によって起きた土砂崩れによって、家まで侵入した土砂を除くというもの。

 

 たまたま場所が家から近かった為に参加してみたのだ。

 

 「腕がパンパン、太股も痛い」

 

 これが結構な重労働で、現在僕は筋肉痛という名誉の負傷に襲われている最中というわけである。

 

 だけど、ボランティアに参加して後悔はしていない。

 なんというか凄く誇らしい良い気分だ。

 

 僕が住んでいるボロアパートで痛みに喘いでいると、大学の友達から電話が掛かってきた。

 

 「もしもーし、今夜飲みに行かん?え?体が痛いし疲れたからもう寝る?何やってんの?そういえばお前今日大学休んでたよな。運動会でも行ってきたんか?」

 

 「行ってない?ボランティアに参加して土と戯れてきたって?何やってんの?自分探し?とりあえず今から飲もう。いつもの居酒屋で待ってるからな。」ツーツー

 

 まじでか。動きたくないんだが。まぁ、しょうがないし行くか。あいつ結構強引だよなー。

 

 あいつは同じ大学の友達で一番仲が良いといえる友達だ。ちなみに男。残念です。

 

 

 「「かんぱーい!!」」

 

  あいつと僕はビールの杯をぶつけ合って思い切り中身を口の中に流し込んだ。

 

 「かー!うめぇ!やっぱビールはいいぜ!」

 

 確かにそれは凄く同意する。これが仕事おわりの1杯か、工事現場の人達にビール好きが多いいのも分かる。

 

 「それでよぉー、お前なんでボランティアなんか参加してんだ?」

 

 ちなみに僕は誰にもクロのことや夢の中のことを話してはいないし、話すつもりもない。

 

 変人呼ばわりされるか、冗談にとられるのが関の山だろう。特にこいつに変な心配でもされたら恥ずかしくて死にそうだ。

  

 「だから言ったろ?自分探しだよ。就活に活かせないかなって。」

 

 だから誤魔化す。まぁでもあながち間違いでもないけどね。

 

 「なるほどねー。そういえばさぁお前、あの子にいつ告白すんの?彼女はいいぜぇー、癒される!!」

 

 「確かに好きだけど、そこまでまだ行けないよ。だってあんまり話してないんだよ?無理に決まってるじゃないか。」

 

 そうなのだ。僕には好きな人がいる。一つ年上でバイト先の先輩だ。会ってまだ3ヶ月くらいだけど、えーと、好きなんです。くっ!彼女がいるなんて羨ましい!

 

 「はんっ、だからお前には彼女が出来ないんだよ!」

 

 「うるさいな!ほっといてくれよ!このリア充が!」

 

 僕もこいつみたいに積極的になれたらリア充になれたのだろうか。まぁ、残り少ない僕にとっては今更なことなんだけどね。

 

 

 「うぅっ、頭が痛いし体も痛い。」

 

 結局あれから閉店まで飲んで騒いだ僕らは、店主に追い出されるようにして店を後にした。

 

 近くにあったベンチに二人して座って休んでると、こいつが唐突に言い出した。

 

 「なぁ、お前が何に悩んでるかしんないけどよぉ。後悔しないようにしろよ。お前はいつもひけって大事な所を逃すからよぉ。」

 

 こいつは結構感が鋭いからか、それとも僕が悩んでることが表に出すぎたからか分からないが説教じみたことを垂れてきた。

 

 「分かってるよ。はい、はい、ありがとう。」

 

 「ったく、もう俺は帰るが一人で帰れるか?」

 

 こいつ回復早いな。さっきまで酒が襲ってくるだの言ってたくせに。

 

 「帰れるよ。ありがとうね、そっちも気を付けて帰れよ。」

 

 「おう」

 

 あいつはそう言うと、鼻歌を歌いながら去っていった。本当に陽気なやつだよ。

 

 僕はベンチに座ったまま夜空を見上げた。

 

 「楽しかったなぁー。」

 

 あと何回あいつと飲めるだろうか。そして僕はどうなるのだろうか。残り数十日で死ぬらしいが、果たしてこんなことで生きた証を残せるのだろうか。

 

 こうやってふと1人になるとつい考えてしまう。

 でも確かに今日は楽しかった。

 

 その日僕は頭の痛みや体の痛みに襲われながらも、どこか心地よさを感じながら夢の世界へと旅立った。

 

 

 

 

 残り96日

 

 「どうだった?良かっただろう?ボランティア。」

 

 「流石、僕!流石、神様!」

 

 「ボランティアで生きた証を残せるかって?残せるよ。えー?嘘をつくな?嘘なんてつかないよ!」

 

 「分かった、分かった。もっと君には僕のありがたみを感じて欲しいからね、特別にまた助言をしてあげる。」

 

 「本当に感謝してよね!もし聖職者が知れば五体投地して涙を滝のように流すくらいありがたいんだから!」

 

 

 「でました!次はボランティアに参加してる人達に話を聞きなさい。」

 

 「そうだね、最低50人に話を聞いてね!」

 

 「ん?なんでって?やれば分かるよ!」

 

 「何日かかるか分からない?しょうがないなー、あと10日以内に話を聞いてね!!」

 

 「そう!これはミッションだ!神様からの信託だよ!」

 

 

 「では行ってらっしゃい!僕のために面白い話を聞いてきてね!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「んー、どうしよう、このままじゃ彼、後悔して死ぬかも。」

 

 

 

 

 

 ここから10日経った。

残り87日。